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「クマが街に来ない森」を作ろう!「県行造林区域」と「森林づくり県民税」で実現する、ツキノワグマとの共生プラン【案】

time 2025/11/13

「ツキノワグマが市街地に出没」というニュースが、岩手県内でも毎日のように報道されています。
人々の暮らしに不安が広がる一方で、山から出てきてしまったクマが駆除されるという悲しい現実もあります。

なぜ、クマは危険を冒してまで街に下りてくるのでしょうか?

その大きな理由の一つが、山の中の「餌不足」です。
特にクマの主食である「どんぐり」(ブナやミズナラの実)が凶作の年は、食べ物を求めて人里まで移動してくると言われています。

そこで、クマを一方的に「追い払う」だけではなく、「クマが安心して山で暮らせる環境」を私たち人間が積極的に作ることで、この問題の根本にアプローチする取り組み案をご紹介します。

それが、「クマのための豊かな森」を人工的に作り、山に返すプロジェクトです。

整備・完了までの年数や少雨対策の水源をどう確保するのかという事も考えないとですが…
人間の生命に関わることで、不謹慎な案ですが…すみません。


 

提案:「クマの森」プロジェクト【案】

 

この取り組みの核心はシンプルです。クマが好む食べ物が一年を通して実る森を、計画的に山の中に作るというものです。

  • 何を植える?
    • どんぐりの木(ミズナラ、コナラ、ブナなど)
    • 山葡萄(やまぶどう)
    • 栗(クリ)
    • その他、サルナシや柿など、クマが好む実のなる木

これらの木々を、人里から離れた奥山に計画的に植林・育成します。
「春は新芽、夏は木の実、秋はどんぐり」といったように、季節を通して安定した「食堂」を山の中に用意することで、クマが餌を求めて人里まで下りてくる必要性を減らすのが狙いです。

 

実現するための「カギ」は岩手の既存資産

 

「そんな森を作るなんて、どこに? お金は?」と思うかもしれません。

しかし、この提案には、岩手県がすでに持っている2つの重要な「資産」を活用できる可能性があります。

 

1. 場所:県の管理する森・県有林「県行造林区域」

 

岩手県には「県行造林区域」という土地があります。

これは、県が土地の所有者さんと契約して造林(木を植え育てる)を行っている森林で、県の管理下で計画的に森林整備が行われています。

検索情報によれば、これらの森林の中には、戦後の復興期などに植えられたスギやカラマツといった針葉樹(クマの餌は少ない)が多い場所も含まれます。

提案:

これらの「県行造林区域」で、今行われている間伐などの整備に合わせて、新たにクマの餌となる広葉樹(どんぐりや山葡萄など)を植えていくのです。針葉樹ばかりの森から、多様な実のなる「クマの森」へと転換していくイメージです。

 

2. 財源:私たちが納めている「いわての森林づくり県民税」

 

私たちは「いわての森林づくり県民税」という税金を納めています。

この税金は、すでに「環境重視の森林づくり」や「森林との共生」のための事業、具体的には手入れの行き届かない森林の間伐や、里山林の整備活動などに使われています。

提案:

この県民税の使い道として、「ツキノワグマとの共生」をより明確に位置づけ、「クマの餌場となる森づくり(広葉樹の植栽)」を新しい事業として加えてはどうでしょうか。

これは、税の目的である「豊かな森林づくり」や「森林との共生」にも完全に合致するはずです。


 

期待される効果

 

この「クマの森」プロジェクトが実現すれば、以下のような効果が期待できます。

  1. クマの市街地への出没が減る山奥に安定した「食堂」ができれば、クマが危険な人里へ下りてくる動機が減ります。
  2. 人間とクマ、両方の安全が向上する市街地での遭遇(人身事故)リスクが減り、人もクマも安全に暮らせるようになります。結果として、駆除されるクマの数を減らすことにもつながります。
  3. より豊かな森(生物多様性)が育つスギやカラマツだけの森よりも、どんぐりや山葡萄が実る多様な広葉樹の森は、クマ以外の多くの野生動物にとっても貴重な生息場所となります。

 

まとめ

 

ツキノワグマの出没は、私たち人間に「山の環境が変わりつつある」というサインを送っているのかもしれません。

クマをただ恐れ、遠ざけるだけでなく、私たち自身の税金と県の土地(資産)を使い、クマが安心して暮らせる山を「再生」していく。

この「クマの森」プロジェクトは、岩手県が目指す「ツキノワグマとの共生」に向けた、具体的で現実的な一つの「答え」になるのではないでしょうか?

森林と動物との共生は、震災以降に爆誕したメガソーラーや風力発電所の整備の影響も少なからずあると思われます。

野生動物の数(頭数)の駆逐・駆除管理も必要ですが、このような自然の森林再生も並行して行ったほうがいいと感じます。

ツキノワグマに関わらず、鹿・イノシシなどの農作物の野生動物の食害にも有効かと…。

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プロフィール

岩見 信吾 / IWAMI Shingo

岩見 信吾 / IWAMI Shingo

NPOスペシャリスト・地域情報化プランナー: @IwaminTV / @iwateNPO / @IwateNow / @aiinaNPO 元副所長・管理者/魚ログ・三鉄ログ創設/ #盛岡星人 /産学民公連携協働,環境と地域ICT,地域DX,まちづくり,商品開発,災害復興。/日本経済新聞【地域情報化大賞 2008】日経MJ賞 受賞:三陸いわて産地魚市場の環境を意識した地域情報化/農林水産省ボランタリープランナー/岩手県宮古市(旧:新里村)出身、岩手県盛岡市在住 [詳細]

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