XのAI Grokに 盛岡市の財政調整基金(市の貯金)について、分析してもらいました。
プロンプト:盛岡市の財政調整基金(貯金)の20年前から今年度までの年度ごとの推移と、具体的になんのために支出・切り崩したかを用語も含めてわかりやすく教えて下さい。
市役所公式ホームページの資料から読み込み分析すること。
https://grok.com/share/bGVnYWN5_4b3bd81c-9fc9-4425-8ce9-3275985a231e
XのAI Grokに 盛岡市のふるさと納税の赤字について、分析してもらいました。
プロンプト:盛岡市のふるさと納税が赤字である理由と内訳や用語をわかりやすく教えてください。
また他の都市との比較もわかりやすく示してください。
プロフィール

岩見 信吾 / IWAMI Shingo
NPOスペシャリスト・地域情報化プランナー:
@IwaminTV
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@aiinaNPO
元副所長・管理者/魚ログ・三鉄ログ創設/ #盛岡星人 /産学民公連携協働,環境と地域ICT,地域DX,まちづくり,商品開発,災害復興。/日本経済新聞【地域情報化大賞 2008】日経MJ賞 受賞:三陸いわて産地魚市場の環境を意識した地域情報化/農林水産省ボランタリープランナー/岩手県宮古市(旧:新里村)出身、岩手県盛岡市在住 [詳細]
内舘盛岡市長へ、11月3日「市長の手紙」を出しました。
その返事が11月18日に来ました。
【またお返事の手紙を、11月19日市長へ送りました。】
再回答のお願いです。
お返事が来たら、文通を続けようと思います。
今日11月21日、盛岡市議会の全員協議会を傍聴してきました。
123事業見直しの全容を理解していない市民は、ほんとに多いです。
ニュースや新聞を見ない市民、自身の生活・社会活動と関係ない影響ないと思っている市民、市長の投稿にむやみに「いいね」を押してしまった市民、情報に触れる機会のない市民などに対して、どうやって説明や理解を求めていくのでしょうか?
そして何より、市民。
自身には関係がないと感じていても、周りの知人・友人・団体そして生活・社会活動に、関係してきます。
市役所の職員、議員、市長・副市長も市民ですよね。
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件名: 「123事業見直し案」再考のお願い:確固たる「盛岡ブランド」の毀損と、公約との整合性について
本文: 盛岡市長 内舘 茂 様
拝啓
時下、市長におかれましては、盛岡市の発展のため日々ご尽力されていることに深く敬意を表します。 先般、私が提出いたしました市長への手紙に対し、ご回答をいただきありがとうございました。
しかしながら、頂戴した内容は「手続きの正当性」や「財政調整基金の枯渇回避」という目先の会計上の理由に終始しており、私が最も懸念しております「盛岡という都市の価値(ブランド)そのものの喪失」に対する、市長ご自身の思想やビジョンが全く感じられず、到底納得できるものではありませんでした。
つきましては、改めて以下の3点について、具体的な根拠と市長の真意を問うべく、再質問させていただきます。
1. 「盛岡らしさ」と「シビックプライド」を切り捨てることへの危機感
回答では「将来の負担」を金銭的な負債のみと捉えられていますが、最大の資産である「盛岡ブランド」を毀損することこそが、取り返しのつかない負債ではありませんか?
ニューヨーク・タイムズ紙が盛岡を選んだ理由は、単なる「箱モノ施設:ハード」ではなく、歴史的景観が息づく街並み、そこで育まれた独自の文化、そして市民が大切にしてきた「盛岡らしさ:ソフト」にあります。 長年積み上げてきた「いわて盛岡シティマラソン」や「街なかイルミネーション」、そして歴史的風致維持向上計画に基づく景観形成事業は、市民が街への愛着と誇りを育む「シビックプライド(都市に対する市民の誇り)」の源泉です。
これらを「コスト」と断じて安易に削減することは、盛岡の魅力の根幹を破壊し、「どこにでもある普通の地方都市」へと自ら没落させる行為に他なりません。 「盛岡の価値を守る」とおっしゃりながら、その価値の源泉(アイデンティティ)を削るという、この「本末転倒」な矛盾について、どのようにお考えでしょうか。
2. 「歴史・観光」こそが経済のエンジンであるという認識の欠如
市長は「厳しい財政状況」を理由に挙げられましたが、今の盛岡にとって歴史的景観を活かした観光推進事業は、単なる消費ではなく、外貨(市外・県外からのお金)を稼ぐための「最強の投資」です。
先人たちが守り抜いてきた歴史的景観や、それを活用したイベント・観光事業は、飲食・宿泊・物産など広範な産業に利益をもたらす経済のエンジンです。 このエンジンへの給油(事業費)を絶てば、一時的に支出は減るかもしれませんが、結果として地域経済は冷え込み、将来の税収は確実に減少します。 「稼ぐための道具」を売り払って目先の借金を返済しようとするような、縮小均衡(ジリ貧)への経営判断が、本当に盛岡の未来のためになるとお考えですか?
3. 「世界に選ばれるまち」という公約との決定的矛盾
内舘市長は就任時、「世界に誇れる盛岡」「交流人口の拡大による経済再生」を公約として掲げられました。 世界が盛岡の「レトロで歩いて楽しい街並み」や「独自の文化イベント」に注目し始めたこの絶好の好機に、その魅力を発信し、誘客の核となってきた事業を縮小・廃止することは、市長ご自身が掲げたビジョンと完全に逆行していませんか?
アクセル(誘客・ブランド発信)を踏むべき時に、ブレーキ(事業廃止・魅力削減)をかけるという、ちぐはぐな経営判断に対し、論理的な整合性の説明を求めます。
【開示および具体的再回答の要求】
上記の懸念を払拭し、今回の判断が適正な「経営」であることを証明するために、以下のデータの開示と説明を強く要望します。
1. 経済波及効果と損失の試算(ROIデータ) 今回削減・廃止対象とした観光・イベント・文化事業について、削減する事業費に対し、それらが従来もたらしていた「地域への経済波及効果(推定額)」はいくらか。
事業廃止によって失われる市内の消費額および税収減を、どのように試算しているか。
2. 「無形資産」の評価プロセス 金額換算できない「シビックプライドの喪失」や「盛岡ブランドの毀損(イメージダウン)」といった機会損失(Opportunity Cost)について、どのような指標を用いて評価し、今回の結論に至ったのか。
結び 「財政の健全化」には賛成です。しかし、それは「盛岡の魂」まで売り渡すことではありません。 私たちは、数字の帳尻合わせをする「管理者」ではなく、盛岡の歴史と文化・景観街並みを守り抜き、それを武器に未来を切り拓く「経営者」としての市長の手腕を期待しています。
「お金がないから止める」という思考停止ではなく、「どうすればこの『盛岡らしさ』を守りながら、持続可能な形で稼げるか」という知恵を絞ることこそが、今、市長に求められているリーダーシップです。
形式的な回答ではなく、上記データに基づいた、納得のできる誠意ある回答をお待ちしております。
敬具
令和7年11月19日
岩見 信吾
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そのまま、掲載します。
パブリックコメント【D評価】なりの、再質問を考えています。
如何ともし難いテンプレ的な内容で、ヒリヒリしましたが、どうにかして言語化すべく鋭意努力中です。
なんか、文通になりそうです。
あ、不謹慎ですね…ごめんなさいm(_ _)m
_____________________________________________________
7 盛 広 第199号
令和7年11月18日
岩見 信吾 様
盛岡市長 内舘 茂
市長への手紙に対する回答について
日頃から、市政の推進については御理解と御協力をいただき厚くお礼申し上げます。
先日いただきました御意見について、次のとおり回答します。
今後とも市政の運営について、御意見や御提言をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
記
内容
「7.6億円 123事業見直し案」に関する市民の声と、地域文化・経済への深刻な影響について
回答
今回の事務事業見直しは、予算削減ありきで実施しているものではなく、1,000を超える各事業について、事業の対象である課題は市が解決しなくてはならないものか、目的に対して最適な手段をとっているか、次年度に必ず実施しなければならないものかといった観点から精査し、廃止・予算圧縮のほか、方法・対象の見直しや、類似事業との統合も含めてあり方を検討しているものです。
全ての市民サービス、イベント等は、目的があって実施しているものですが、収支不足に陥り、財政調整基金の取崩しにより対応している厳しい財政状況の下では、現状のまま事務事業を維持することは、将来の市民に負担を先送りすることにもなりかねません。
御指摘の「盛岡の価値」を守るためにも、一定の見直しが避けられないことは御理解いただきたく存じます。
今後も、市民の皆様、関係団体等の皆様から御意見を伺いながら、事務事業見直しを含めた自治体経営改善の取組を進めてまいりますので、御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
担当:市長公室 自治体経営改善事務局
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え?「パブリックコメント」って、単なる「文章・資料の校正チェック」ではないですよね??
行政の意思決定に、市民が参加するための仕組みじゃないの??
あ、これがあの「盛岡アゴラ」というやつか…。
え??私、間違ったこと言ってましたか?【←D判定だった感想】
ちなみに文書や資料の校正に近い内容は、A評価でした。
(仮称)盛岡市中心市街地デザイン戦略(案)について【盛岡市:パブリックコメント】https://www.city.morioka.iwate.jp/shisei/public_comment/public_comment/1052616.html

なんか、ヒリヒリ燃えますな!(笑)
【パブコメ野郎 Dチーム】でも結成しませんか??
ってなことで、エンブレムとプロモーションビデオ完成!
やっぱ、ヒリヒリ燃えますな!(笑)
良い子は、マネをしないでね!
※評価のD、ダメのD、団体のD、デンジャーのDの意味
※特攻野郎Aチーム、環境野郎Dチームのオマージュです。
YouTubeとかで見てください。
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岩見 信吾 / IWAMI Shingo
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「ツキノワグマが市街地に出没」というニュースが、岩手県内でも毎日のように報道されています。
人々の暮らしに不安が広がる一方で、山から出てきてしまったクマが駆除されるという悲しい現実もあります。
なぜ、クマは危険を冒してまで街に下りてくるのでしょうか?
その大きな理由の一つが、山の中の「餌不足」です。
特にクマの主食である「どんぐり」(ブナやミズナラの実)が凶作の年は、食べ物を求めて人里まで移動してくると言われています。
そこで、クマを一方的に「追い払う」だけではなく、「クマが安心して山で暮らせる環境」を私たち人間が積極的に作ることで、この問題の根本にアプローチする取り組み案をご紹介します。
それが、「クマのための豊かな森」を人工的に作り、山に返すプロジェクトです。
整備・完了までの年数や少雨対策の水源をどう確保するのかという事も考えないとですが…
人間の生命に関わることで、不謹慎な案ですが…すみません。
提案:「クマの森」プロジェクト【案】
この取り組みの核心はシンプルです。クマが好む食べ物が一年を通して実る森を、計画的に山の中に作るというものです。
- 何を植える?
- どんぐりの木(ミズナラ、コナラ、ブナなど)
- 山葡萄(やまぶどう)
- 栗(クリ)
- その他、サルナシや柿など、クマが好む実のなる木
これらの木々を、人里から離れた奥山に計画的に植林・育成します。
「春は新芽、夏は木の実、秋はどんぐり」といったように、季節を通して安定した「食堂」を山の中に用意することで、クマが餌を求めて人里まで下りてくる必要性を減らすのが狙いです。
実現するための「カギ」は岩手の既存資産
「そんな森を作るなんて、どこに? お金は?」と思うかもしれません。
しかし、この提案には、岩手県がすでに持っている2つの重要な「資産」を活用できる可能性があります。
1. 場所:県の管理する森・県有林「県行造林区域」
岩手県には「県行造林区域」という土地があります。
これは、県が土地の所有者さんと契約して造林(木を植え育てる)を行っている森林で、県の管理下で計画的に森林整備が行われています。
検索情報によれば、これらの森林の中には、戦後の復興期などに植えられたスギやカラマツといった針葉樹(クマの餌は少ない)が多い場所も含まれます。
提案:
これらの「県行造林区域」で、今行われている間伐などの整備に合わせて、新たにクマの餌となる広葉樹(どんぐりや山葡萄など)を植えていくのです。針葉樹ばかりの森から、多様な実のなる「クマの森」へと転換していくイメージです。
2. 財源:私たちが納めている「いわての森林づくり県民税」
私たちは「いわての森林づくり県民税」という税金を納めています。
この税金は、すでに「環境重視の森林づくり」や「森林との共生」のための事業、具体的には手入れの行き届かない森林の間伐や、里山林の整備活動などに使われています。
提案:
この県民税の使い道として、「ツキノワグマとの共生」をより明確に位置づけ、「クマの餌場となる森づくり(広葉樹の植栽)」を新しい事業として加えてはどうでしょうか。
これは、税の目的である「豊かな森林づくり」や「森林との共生」にも完全に合致するはずです。
期待される効果
この「クマの森」プロジェクトが実現すれば、以下のような効果が期待できます。
- クマの市街地への出没が減る山奥に安定した「食堂」ができれば、クマが危険な人里へ下りてくる動機が減ります。
- 人間とクマ、両方の安全が向上する市街地での遭遇(人身事故)リスクが減り、人もクマも安全に暮らせるようになります。結果として、駆除されるクマの数を減らすことにもつながります。
- より豊かな森(生物多様性)が育つスギやカラマツだけの森よりも、どんぐりや山葡萄が実る多様な広葉樹の森は、クマ以外の多くの野生動物にとっても貴重な生息場所となります。
まとめ
ツキノワグマの出没は、私たち人間に「山の環境が変わりつつある」というサインを送っているのかもしれません。
クマをただ恐れ、遠ざけるだけでなく、私たち自身の税金と県の土地(資産)を使い、クマが安心して暮らせる山を「再生」していく。
この「クマの森」プロジェクトは、岩手県が目指す「ツキノワグマとの共生」に向けた、具体的で現実的な一つの「答え」になるのではないでしょうか?
森林と動物との共生は、震災以降に爆誕したメガソーラーや風力発電所の整備の影響も少なからずあると思われます。
野生動物の数(頭数)の駆逐・駆除管理も必要ですが、このような自然の森林再生も並行して行ったほうがいいと感じます。
ツキノワグマに関わらず、鹿・イノシシなどの農作物の野生動物の食害にも有効かと…。
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岩見 信吾 / IWAMI Shingo
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「私たちの街も、もっと【稼げる】ようにならなきゃ!」
最近、そんな言葉をよく耳にしませんか? 観光客を呼び、新しい商業施設を作り、とにかく効率よく収益を上げる。
一見、とてもポジティブな流れに思えます。
しかし、この「稼ぐ」や「効率化」という考え方を、むやみに「公共サービス」や「福祉」、さらには「歴史・文化・教育や景観の保全」に持ち込むと、深刻な問題が起きることをご存知でしょうか。
ピカピカの駅前や、短期的な「成果」の裏側で、私たちの暮らしや地域経済が静かに蝕まれていく危険があるのです。
今回は、その「ワナ」について分かりやすく解説します。
そもそも「稼ぐ事業」と「支える事業」はゴールが違う
まず、大前提として「まちの事業」には大きく分けて2つの種類があります。
- 稼ぐ事業(営利的な事業)
- 目的: 利益を最大化すること。効率(投資利益率)が最優先。
- 例: 観光地の開発、特産品の販売、商業施設の誘致。
- 考え方: 「儲かるか、儲からないか」が大事な判断基準。
- 支える事業(公共的・福祉的な事業)
- 目的: 住民の生活の質(公共の福祉)や安全を「最低限」保障すること。街のアイデンティティ(独自性)を守ること。
- 例: 公園、図書館、子育て支援、福祉、地域のバス路線、歴史・文化・景観の保全。
- 考え方: 「儲かるか」ではなく、「そこに必要な人がいるか」「それが街の未来にとって必要か」が大事な判断基準。
問題は、この2つを混同し、「2.支える事業」に「1.稼ぐ事業」のモノサシを当てはめてしまうことです。
「効率化」というモノサシが歪み(ひずみ)を生む
では、福祉や公共サービス、文化を「効率」や「見た目」で判断すると、どんな「歪み」が生まれるのでしょうか。具体的な例を見てみましょう。
歪み1:見た目優先で、生活インフラが崩れる
【例】ピカピカの駅前広場 vs ボロボロの水道管
- 稼ぐ視点: 「観光客が降り立つ駅前は、街の顔だ!ピカピカなモニュメントを建てて、イベント広場を作ろう!」(見た目が良く、成果が分かりやすい)
- 支える視点: 「(予算がそちらに回され)もう何十年も交換していない水道管や、老朽化した学校の耐震補強が後回しになってしまう…」(見た目は地味だが、生活に不可欠)
【結果】 見た目は良くなっても、ある日突然、水道管が破裂して断水したり、災害時に学校が危険な場所になったりします。これは市民生活への直接的な不利益です。
歪み2:効率優先で、暮らしの足が奪われる
【例】採算の取れないバス路線の廃止
- 稼ぐ視点: 「山間部を走るあのバス路線は、1日に5人しか乗らない。赤字だから廃止しよう。これが『効率化』だ。」
- 支える視点: 「その5人は、病院や買い物に行くために、そのバスが『唯一』の交通手段であるお年寄りかもしれない。」
【結果】 会社としては「赤字」が消えて効率化されますが、その5人の市民は移動の自由を奪われ、生活が立ち行かなくなります。これは公共の福祉の崩壊です。
歪み3:コストカットで、街の「魅力」が失われる
【例】「儲からない」歴史的な街並みや文化財の放置
- 稼ぐ視点(短期的):「あの古い街並みを維持するのは金がかかる。景観保全の予算をカットしよう。文化財の修繕費も削れ。目先の利益にならない。」
- 支える視点(長期的): 「その歴史や文化こそが、他の街にはない『唯一無二の魅力』であり、住民の誇り(アイデンティティ)の源泉ではないか?」
【結果】 目先のコストは削減できますが、街はどこにでもあるような「のっぺりとした風景」に変わっていきます。街の魅力が失われれば、観光客は来なくなり、結果として「稼げる街」からも遠ざかってしまいます。これは地域の「長期的な資産」を自ら捨てているのと同じです。
歪み4:「成果」の数字だけが求められる
【例】「来館者数」だけを追いかける図書館
- 稼ぐ視点: 「図書館の価値は『来館者数』だ。専門書の購入(コスト)を減らし、流行りのカフェを併設して、とにかく人を集めよう。」
- 支える視点: 「静かに調べ物や勉強をしたい学生、専門書を借りたい研究者、地域の歴史を学びたい住民の居場所がなくなってしまう。」
【結果】 「来館者数」という数字(見た目)は達成されますが、図書館本来の「知のインフラ」という公共的な役割が失われていきます。
その「歪み」は、回りまわって地域経済も壊していく
「でも、福祉や文化を切り捨てないと、街全体が破綻してしまうのでは?」と思うかもしれません。
しかし、逆です。「支える事業」を切り捨てることこそが、長期的に地域経済を不利益に導きます。
【魅力が失われたケース】
- コストカットで歴史的な景観や文化が失われる。
- 街が「どこにでもある退屈な場所」になる。
- 観光客が減り、観光収入が落ち込む。
- 街に愛着を持つ住民も減り、新しい人を惹きつけられず、人口が流出する。
【暮らしの足が失われたケース】
- バスの赤字路線が廃止される。
- 高齢者などが買い物に行けなくなる。
- 地域の小さな商店がお客様を失い、廃業する。
- 「住みにくい街」という評判が広がり、人口が減る。
このように、「効率化」のために切り捨てたはずの「コスト」が、何倍もの「不利益」となって地域経済全体に跳ね返ってくるのです。
まとめ:「稼ぐ」力は、「支える」ために使おう
「稼ぐまちづくり」が悪いわけでは、決してありません。新しい挑戦で収益を生み出すことは、街の活力を保つために不可欠です。
大事なのは、その順番と目的です。
- ダメな例:「稼ぐ」こと自体が目的になり、公共サービスや福祉、文化・景観を「コスト」として削っていく。
- 良い例:住民の暮らしと街の魅力を「支える」という土台をしっかり守るために、その原資として「稼ぐ」力を使う。
見た目がキレイな街も素敵ですが、それ以上に「誰もが安心して暮らし続けられ、誇りを持てる街」こそが、本当に強く、持続可能な街ではないでしょうか。
あなたの街の「効率化」や「新しい計画」が、本当に「暮らし」と「未来の魅力」を支えるものになっているか、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
このように間違った「稼ぐまちづくり」を狂犬的に受講生を増やし推進しようとする教育者、街づくりコンサルタントやファシリテーターも間違った教育の流布をしているので、十分責任があると考えます。
地方公共団体の間違った、時代に沿わないPFIやP-PFIもそうです。
「岩手公園の活用」や盛岡駅前の「木伏緑地の現状」をぜひ見てみてください。
プロフィール

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盛岡市が発表した「7.6億円 123事業廃止見直し案」について、私が思うことを盛岡市長への手紙にて、盛岡市のホームページから投函しました。
最近、議員でもないのに、何をやっているの?と言われますが、無所属・底辺の「一般市民」がするべき行動としてやっています。
【件名】 「7.6億円 123事業見直し案」に関する市民の声と、地域文化・経済への深刻な影響について時下、市長におかれましては、本市の未来に向けたご尽力に深く感謝申し上げます。
この度、貴市が発表された「123の事業見直しによる7億6,000万円確保」の報道に接し、一市民として深い懸念を抱いております。
新しい給食センター整備の財源確保の必要性は理解しつつも、その手法と見直し対象事業の中身に、看過できない問題があると感じています。
懸念点1:見直しの優先順位の誤りと、効率化優先がもたらす歪(ひずみ)
今回の見直し案は、かつての国の「事業仕分け」のパフォーマンスを想起させます。
まず問われるべきは、事業の中止や補助金カットありきではなく、運営方法の組み替えや効率化による改善が先に徹底的に検討されたのか、という点です。
市民の目には、そのプロセスが欠落したまま、安易な事業廃止という手段が選ばれているように映ります。
これでは、見直しの優先順位が根本的に違っていると言わざるを得ません。
また、市の広報誌を削減するなど、効率化を優先するあまりの歪(ひずみ)は、必ず「市民生活の不利益」に直結します。
「経営改善」の名のもと、市民サービスや情報へのアクセスが後退することを強く危惧します。
懸念点2:地域経済、そして「盛岡の価値」そのものへの破壊行為
「いわて盛岡シティマラソン」や「もりおか街なかイルミネーション」といった事業は、単なるイベントではありません。
全国から人を呼び、地域経済を潤わせる重要な役割を担っています。
さらに申せば、これらのイベントや、貴市がこれまで進めてこられた【歴史的町並みの保存活用、観光推進事業は、単なる「稼ぐまちづくり」の手段ではなく、盛岡のアイデンティティを形成する「公共的要素」】であります。
これらの多くは、10年以上の歳月をかけて市民と共に継続し、ようやく実を結び始めている大切な財産です。
このタイミングで補助金や事業費をカットすることは、個々の事業を止めるにとどまらず、これまで積み上げてきた【「盛岡らしさ」「盛岡ブランド」そして市民の「シビックプライド(街への誇り)」そのものに対して、市が「ノー」を突きつけるに等しい行為】です。
確保できる市の7.6億円をはるかに上回る経済的損失と、市民の誇りの喪失を招くのであれば、それは「経営改善」ではなく「破壊」です。
結び
市が来年2月ごろの正式決定前に、影響を受ける団体から意見を聞く機会を設けていると承知しております。この機会を形式的なものとせず、以下の点を真剣に再検討していただくよう、強くお願い申し上げます。
- 事業中止を決定する前に、運営方法の組み替えによる継続の道を徹底的に模索すること。
- 事業がなくなることで「盛岡が何を失うのか」という、【金銭では測れない「街の価値」「人のつながり」、そして市民が育んできた「シビックプライド」】を、数字の論理だけで切り捨てないこと。
- 各事業の削減額と、その事業がもたらす地域経済への波及効果(機会費用)を、多角的な視点から詳細に比較検討し直すこと。
給食センター整備と並行して、市民が長年愛し、街の活気の源となってきたイベントや文化を「なし崩し」にしない、真に持続可能な「盛岡の価値」を守る改革を望みます。
市民の代表である市長に、冷徹なコストカットではなく、未来を見据えた温かい経営判断をされることを切に期待し、この手紙を捧げます。
プロフィール

岩見 信吾 / IWAMI Shingo
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盛岡市の事業見直し・廃止関連の報道を見て、ちょっと黙っていられなく「緊急で」ブログを書いています。
先日、盛岡市が「123の事業を見直して、来年度から7億6000万円を確保する」という案を発表しました。
盛岡市 123事業見直しで7億6000万円余確保の案示す【NHK盛岡放送局】
盛岡市は、市の123の事業について廃止などを行うことで、来年度以降、事業費ベースで7億6000万円余りを確保するとした見直しの案を、24日開かれた市議会の全員協議会で明らかにしました。2025年10月24日
https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-6040027577
市の新しい給食センター整備など、大型事業のお金が必要なのは分かります。
そのために「自治体経営改善事務局」なんていう新しい部署まで作って、見直しを進めてきたそうです。
その結果が、7.6億円の確保。 数字だけ見れば「お!市長、よく頑張ったな!!」と思うかもしれません。
でも、その中身を見て、いくら公約とはいえ私は「強い違和感と不安」を覚えました。
なにか悪い事でもした事を挽回するために躍起になっている感じもするし、市民のどんな「もりもりな話」を聞いてきたのか、何より市議会議員も市職員も「ボーっと」してんな!と・・・。
まるで「事業仕分け」パフォーマンス
見直しの具体例として、「いわて盛岡シティマラソン」や「もりおか街なかイルミネーション」など78事業で、市の負担金(補助金)をやめる・廃止、とあります。
これ、どこかで見た光景じゃないですか? そう、かつて民主党政権が行った「事業仕分け」です。
「なんで2位じゃダメなんですか?」の日本を沈没寸前に陥れ、後に【悪夢の3年間】とまで呼ばれた旧民主党政権の代表作品です。
あの時も、「ムダを削減する」という大義名分のもと、多くの文化事業や研究がやり玉に挙げられました。
今回も、市議会から「なぜシティマラソンを廃止するのか」「どういう基準で必要性を検討したのか」という至極まっとうな意見が出ています。
フタを開けてみれば、十分な議論もなく、「なんとなく派手だから」「すぐに効果が見えにくいから」という理由で切られていないか?
市民に「改革してますよ!」とアピールするための、見かけ倒しのパフォーマンスに見えてしまうのです。
それは「経営改善」か、それとも「冷酷なコストカット」か
私がもっとも強く感じたのは、この手法が「カルロス・ゴーン氏がやったような、冷酷で乱暴なコストカット」【ヤッちゃった…ニッサン】にそっくりだ、ということです。最後は、作業員、海外に逃亡するためコントラバスになってしまいました。
「いわて盛岡シティマラソン」は、今や全国から多くのランナーが集まる、盛岡を代表するイベントに育ちました。
盛岡らしさ・盛岡ブランドの事業も含まれていて、妻も関わっている歴史的町並み・景観保全、観光推進事業も含まれています。
これらは単なるイベントやソフト事業ではなく、盛岡が世界から「行くべき都市52」の一つとして注目されるきっかけにもなった、【歴史・文化や公共性の強い事業:盛岡ブランド・シビックプライド】そのものであり、この【地域資源】が、今、無駄になる瀬戸際にあるのです。
これらに市が負担金を出すのをやめる事業を縮小する。 一見「市の財政は助かる」と思うかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか? これらのイベントが縮小したり、最悪なくなったりしたらどうなりますか?
- 全国から来ていたランナーや観光客が来なくなる。
- 彼らが使うはずだった宿泊費、飲食代、お土産代といった「地域への経済効果」がゴッソリ消え去ります。
- イベントを支えていた設営業者、印刷会社、警備員、飲食店、アルバイト…そうした人たちの仕事が減ります。
これは、回り回って「地域経済への悪循環」「中小企業の破綻」、「ワーキングプアを増やす」ことにつながりかねません。
市の負担金7.6億円をケチったことで、それ以上の経済的損失を生み、市民の生活を苦しくさせる。
これは「経営改善」ではなく、ただの「破壊」であり、民間経営者、青年会議所出身の市長とは思えない発想力です。
積み上げてきた「盛岡の価値」を壊さないで
さらに、市の広報誌を月2回から1回に減らすといった見直しも入っています。
情報発信の機会を減らすことも、市民サービスの後退です。
これでは、市民生活や街の魅力という「外側」ばかりを削り、行政の「内側」の効率化は後回しにされているように見えます。
まさに【「市民により強く、行政により優しい」街づくり】を、進めているかのようです。
給食センターはもちろん大事です。でも、そのために今まで市民や市が一体となってコツコツと積み上げてきたイベントや文化、景観、街の活力を「なし崩し」にしていいはずがありません。
お金は大事です。でも、お金で測れない「街の価値」や「人のつながり」、それこそニューヨーク・タイムズ「2023年に行くべき52か所」の評価にも繋がった「盛岡らしさ」である【歴史・文化・景観、公共性の強い事業】を、数字だけの論理で切り捨てるのは、とても暴力的すぎます。
市は来年2月ごろに正式決定する前に、影響を受ける団体から意見を聞くとしています。
ぜひ、表面的な数字だけでなく、その事業がなくなることで「盛岡が何を失うのか」を真剣に考えてほしいです。
これは、単なる「節約」の問題ではないと考えます。
「生贄・ゾンビの街、もりおか」にならないためにも・・・これがあの「もりおかアゴラ・デザイン戦略」なのですね?!
プロフィール

岩見 信吾 / IWAMI Shingo
NPOスペシャリスト・地域情報化プランナー:
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元副所長・管理者/魚ログ・三鉄ログ創設/ #盛岡星人 /産学民公連携協働,環境と地域ICT,地域DX,まちづくり,商品開発,災害復興。/日本経済新聞【地域情報化大賞 2008】日経MJ賞 受賞:三陸いわて産地魚市場の環境を意識した地域情報化/農林水産省ボランタリープランナー/岩手県宮古市(旧:新里村)出身、岩手県盛岡市在住 [詳細]
「地域活性化」や「まちづくり」という言葉が、当たり前のように使われるようになりました。
学生が地域に入ってフィールドワークをしたり、若手デザイナーがおしゃれな空間をプロデュースしたり…一見、とても素晴らしい活動に見えますよね。
でも、その裏側で「正直、迷惑なんだよな…」とため息をついている地域住民がいるとしたら、どうでしょうか?
良かれと思ってやったことが、なぜかすれ違ってしまう。
今回は、そんな地域づくりに潜む「独りよがり」のワナと、そのすれ違いをなくすための「重要なキーパーソン」についてお話ししたいと思います。
なぜ?学生の「調査」が地域を疲れさせるワケ
やる気に満ちた学生が地域を訪れ、住民にヒアリングをする。これは、多くの大学で行われている「地域フィールドワーク」の光景です。
しかし、これがしばしば地域住民の負担になっています。一体なぜでしょうか?
指導者が「お客様気分」で地域を知らない
一番の問題は、学生を指導する街づくりコンサルタントや大学の教授、下請けコーディネーター自身が、その地域を深く理解していないケースが多いことです。
- 地域の歴史や人間関係を知らないまま学生を送り込む。
- 「地域課題を解決してあげる」という上から目線を持っている。
- 学生への教育が不十分で「地域に学ぶ姿勢」を教えていない。
指導者がこれでは、学生も「調査対象」としてしか地域を見ることができません。
例えるなら、あなたの家にいきなり知らない学生がやって来て、「この家の問題点を教えてください!解決策を考えてあげます!」と言っているようなものです。
失礼だと感じませんか?
「またその質問?」繰り返される一方的なヒアリング
地域住民からすると、毎年違う大学の、違う学生がやって来ては、同じような質問を繰り返します。
「どんなことに困っていますか?」 「この地域の魅力は何ですか?」
彼らはレポートを書いたら、もう二度とこの地を訪れないかもしれません。住民にとっては、貴重な時間と善意を「消費」されているだけ…そんな無力感が募ってしまうのです。地域は、学生の学びのための「無料の教科書」ではないのです。
デザイナーの「おしゃれな提案」が浮いてしまう現実
次に、デザイナーが関わる地域づくりについてです。彼らが作る美しいデザインや、洗練された空間は、確かに魅力的です。
しかし、ここにも大きな落とし穴があります。
机上の空論と現場の「温度差」
デザイナーは、課題を「デザイン」で解決しようとします。
例えば、「若者が集まる場所がない」という課題に対し、「おしゃれなカフェを作りましょう!」と提案する。
計画書は完璧で、完成予想図はとても魅力的です。
しかし、「そのカフェ、誰が毎日運営するの?」という最も重要な視点が抜け落ちていることがあります。
- 運営する人の人件費は?
- 地域の人は本当にカフェを求めている?(公民館の畳で茶飲み話がしたいだけかも…)
- イベントの時だけ盛り上がって、普段はガラガラ…なんてことにならないか?
現場のリアルな営みや人間関係を無視した「机上の計画」は、地域の実情と大きなズレ(不均衡)を生み、結局は誰も使わない「ハコモノ」になってしまう危険性があるのです。
見た目の良さに惹かれる若者の危うさ
こうした「おしゃれな地域づくり」は、SNS映えもするため、若者や学生の心を掴みやすいという特徴があります。
「あのデザイナーが関わっているなら、面白そう!」 「こんな素敵な場所で活動できるなんて、最高!」
しかし、彼らはプロジェクトの「キラキラした部分」にだけ惹きつけられ、その裏にある地道な作業や、泥臭い人間関係の調整から目をそむけがちです。イベントを手伝ってチヤホヤされ、満足して帰っていく。それでは、地域に根付くはずがありません。
結局、見た目のデザインと地域住民の日常との間には大きなギャップが生まれ、「私たちのための地域づくりじゃなかったね」という寂しい結果に終わってしまうのです。
すれ違いをなくす鍵は「地域の通訳者」というキーパーソン
では、どうすればこうした悲しいすれ違いを防げるのでしょうか?
その答えは、「地域との通訳的な人材」を見つけ、その人と共に活動することです。この存在こそが、プロジェクトの成否を分ける最も重要なキーパーソンと言えます。
「通訳者」ってどんな人?
「通訳者」とは、単に言葉を訳す人ではありません。
- 地域側の言葉(方言、価値観、暗黙のルール、人間関係)
- よそ者側の言葉(専門用語、ロジック、プロジェクトの目的)
この両方を深く理解し、両者の間に立って「文化」や「感情」まで翻訳してくれる人です。
例えば、このキーパーソンは、こんな風に両者の橋渡しをします。
学生に対して: 「いきなり『課題は何ですか?』なんて聞いたらダメだ。まずはお茶飲み話に付き合って、畑仕事を手伝ってからだよ。そうすれば、ポロッと本音を話してくれるから。」
デザイナーに対して: 「その計画は素晴らしいですが、この地域ではまず区長さんと○○さんにお伺いを立てないと、誰も協力してくれませんよ。順番が大事なんです。」
地域住民に対して: 「あの若者たちは、別に地域をバカにしてるわけじゃないんです。ただ、やり方を知らないだけ。なんとか地域の力になりたいっていう気持ちは本物なんですよ。」
このように、お互いの誤解を解き、スムーズなコミュニケーションを可能にしてくれる潤滑油のような存在。
それが「地域の通訳者」なのです。
どうすれば、地域と本当に関われるのか?
これから地域に関わろうと考えているあなたが、まずやるべきこと。
それは「すごい提案」を考えることではなく、「信頼できる通訳者」を探すことです。
Uターンしてきた若者、地元のNPO職員、外の世界も知っている役場の人、地域のことを何でも知っている世話好きな商店主…。
そうしたキーパーソンを見つけ、敬意を払い、パートナーとして連携すること。それが成功への一番の近道です。
そして、最終的にはあなた自身が、地域に深く入り込み、よそ者の視点も持ち合わせた「通訳者」の一人になることを目指すべきなのかもしれません。
地域づくりは、派手なイベントや即効性のある解決策を求めるものではありません。
そこに住む人々の日常に寄り添い、共に汗を流し、時間をかけてゆっくりと関係を育んでいく、地道な営みなのです。
どうか、「独りよがりなヒーロー」ではなく、地域にそっと寄り添える「良き隣人」を目指しましょう!
プロフィール

岩見 信吾 / IWAMI Shingo
NPOスペシャリスト・地域情報化プランナー:
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元副所長・管理者/魚ログ・三鉄ログ創設/ #盛岡星人 /産学民公連携協働,環境と地域ICT,地域DX,まちづくり,商品開発,災害復興。/日本経済新聞【地域情報化大賞 2008】日経MJ賞 受賞:三陸いわて産地魚市場の環境を意識した地域情報化/農林水産省ボランタリープランナー/岩手県宮古市(旧:新里村)出身、岩手県盛岡市在住 [詳細]
岩手・盛岡駅西口、岩手県の公共複合施設「いわて県民情報交流センター」が生まれて20年。
愛称「アイーナ aiina 」私たち岩手県民は、その響きとロゴに、ずっと親しんできました。
それはもはや、単なる愛称ではなく、県民の共有財産です。

この場所は、お金儲けのためではなく、県民の文化的な活動や人の交流を支えるために作られたはずです。
「アイーナ」という名前は、その設立の精神理念そのものを表す言葉でした。
県の財政が厳しいからネーミングライツが必要だ、という理屈は分かります。
しかし、だからといって、県民の愛着が深く刻まれた「アイーナ」の名前まで売り物にするのは、あまりにも乱暴ではないでしょうか。
この施設の根幹にある価値観を自ら壊すような、配慮の欠けた計画に強い憤りを覚えます。
目先の利益と引き換えに、私たちが20年かけて育んできた文化や愛着、そして「アイーナ」という場所の存在意義そのものを失うことは、未来への大きな損失です。
正直に言って、新しいネーミング、看板、ロゴ、書体、その全てが受け入れがたいものです。
これまでの「アイーナ」が築き上げてきた品位や知的で洗練されたイメージはどこへ行ったのでしょうか。
この変更を一体誰が主導したのか、問いただしたい気持ちでいっぱいです。
だからこそ、何度でも言います。
「アイーナ aiina」は、永遠に「aiina アイーナ」です。
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岩見 信吾 / IWAMI Shingo
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元副所長・管理者/魚ログ・三鉄ログ創設/ #盛岡星人 /産学民公連携協働,環境と地域ICT,地域DX,まちづくり,商品開発,災害復興。/日本経済新聞【地域情報化大賞 2008】日経MJ賞 受賞:三陸いわて産地魚市場の環境を意識した地域情報化/農林水産省ボランタリープランナー/岩手県宮古市(旧:新里村)出身、岩手県盛岡市在住 [詳細]