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ライフセーバーが泳げない? – 実質を伴わない中間支援の矛盾

time 2025/04/20

「目の前で溺れている人を救うには、まず自分が泳げなければならない。これは、ごく当たり前の理屈だ。では、より多くの人々を『支援』するという名の下に行われる活動においてはどうだろうか?直接的なサポートをする力も、相手の痛みに共感する姿勢もないまま、『全体を支援する』と声高に叫ぶ存在。その矛盾に、私たちはもっと敏感になるべきではないだろうか?今回は、そんな『名ばかりの支援』が蔓延る背景にある、根深い問題に迫りたい。」

直接的な支援をする力も、相手に寄り添う姿勢もない人が、集団や全体を対象とした包括的な支援を掲げるのは、確かに矛盾しています。まるで、泳げない人がライフセーバーを名乗るようなものです。

なぜ、そのおかしさがもっと指摘されないのか、そして、なぜ当の本人がその矛盾に気づかないのか、いくつかの理由が考えられます。

 

周囲が指摘しない理由:

  • 遠慮や忖度: 特に組織内や関係の深い間柄では、直接的な批判を避け、波風を立てたくないという心理が働くことがあります。
    「まあ、口だけ番長だよね」と陰で言われるだけで、表立っては注意されないのです。
  • 建前や体裁: 「支援」という言葉は聞こえが良く、社会的な意義も認められやすいため、実質が伴わなくても、それを掲げることにメリットを感じる人がいます。
    周囲も、体裁を保つことを優先し、本質的な議論を避けることがあります。
  • 無関心や諦め: 「どうせ言っても変わらないだろう」という諦めや、他人の行動に深入りしたくないという無関心が、指摘をしない理由になることもあります。
  • 言葉の曖昧さ: 「中間支援」「包括的支援」といった言葉は、定義が曖昧で、具体的な行動や成果が見えにくい場合があります。
    そのため、「何かやっているつもり」に見えてしまい、批判しづらいという側面もあります。
  • 批判することへの抵抗: 人を批判することは、エネルギーも必要としますし、場合によっては反撃を受ける可能性もあります。
    そのため、面倒事を避ける心理が働くこともあります。

当の本人が自覚しない理由:

  • 自己認識の欠如: 自分の能力や姿勢を客観的に評価できていない可能性があります。
    「自分は全体を俯瞰してアドバイスできる」「情報を提供することは支援だ」と思い込んでいる場合があります。
  • 目的のわい小化: 本来の「支援」の目的である「相手の変化や課題解決」よりも、「資金や情報を提供する」という手段そのものが目的化してしまっている可能性があります。
  • 成功体験の誤認: 過去に、たまたま提供した情報や資金が何らかの成果に繋がったとしても、それが自分の直接的な支援能力や姿勢によるものだと誤解している場合があります。
  • 責任の回避: 直接的な支援は責任が伴いますが、中間支援という立場であれば、具体的な成果への責任を曖昧にすることができます。
  • 言葉の魔力: 「支援」というポジティブな言葉を使うことで、自分自身を正当化し、実際に行っていることの不足に目を向けようとしない心理が働くことがあります。
  • 学習意欲の欠如: 自分の支援方法やその成果について、客観的なフィードバックを求めたり、改善しようとしたりする姿勢がない場合、問題点に気づく機会がありません。

一般に伝わる表現で例えるなら

「料理が全くできない人が、『みんなのために食材を分けてあげるのが私の料理支援だ!』と言っているようなものです。確かに食材は手に入りますが、美味しい料理が食卓に並ぶわけではありません。
本当に必要なのは、食材を調理して美味しい料理を作る技術や、食べる人の好みを理解する気持ちです。
もし、その人が食材を配るだけで満足していて、『これでみんな助かるんだ!』と思い込んでいるなら、周りの人は『いやいや、そうじゃないんだよ…』と言いたくなるはずです。」

本当に価値のある支援とは、相手の状況を理解し、共に考え、具体的な行動を通して変化を生み出すものです。
資金や情報提供は、そのための手段の一つに過ぎません。
もし、手段が目的化し、相手の変化に繋がらないのであれば、それは単なる資源の分配であり、「支援」と呼ぶには疑問が残ります。

このおかしさに多くの人が気づき、声を上げることで、より本質的な支援のあり方が議論され、実践されるようになることを願います。

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プロフィール

岩見 信吾 / IWAMI Shingo

岩見 信吾 / IWAMI Shingo

NPOスペシャリスト・地域情報化プランナー: @IwaminTV / @iwateNPO / @IwateNow / @aiinaNPO 元副所長・管理者/魚ログ・三鉄ログ創設/ #盛岡星人 /産学民公連携協働,環境と地域ICT,地域DX,まちづくり,商品開発,災害復興。/日本経済新聞【地域情報化大賞 2008】日経MJ賞 受賞:三陸いわて産地魚市場の環境を意識した地域情報化/農林水産省ボランタリープランナー/岩手県宮古市(旧:新里村)出身、岩手県盛岡市在住 [詳細]

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