2025/04/20
地域活動を応援したい、志ある地方議員の皆さん。近年、NPO団体や地域団体が活動資金を集める手段としてクラウドファンディング(クラファン)を活用するケースが増えていますね。
地域を良くしようと頑張る団体を、議員として応援したい気持ちは当然のことだと思います。
しかし、地方議員という立場上、その応援方法によっては「公職選挙法(公選法)」に抵触してしまうリスクがあることをご存知でしょうか?
今回は、NPO団体等のクラファンを応援する際に特に注意が必要な「応援メッセージ」と「議員自身による寄付」について、分かりやすく解説します。
1. 応援メッセージを送る場合の注意点
「頑張ってください!」「素晴らしい活動ですね!」そんな応援メッセージを送りたい場面。
これ自体が即座に違法となる可能性は低いですが、注意すべき点があります。
- メッセージの内容:
- OKライン: NPOの活動内容や理念への賛意、成功を願う一般的な激励メッセージ。
- 注意ライン: 「皆さん、ぜひこのクラファンにご協力(寄付)をお願いします!」といった直接的な寄付の呼びかけ。
これは公選法で禁止されている「寄附の勧誘・要求」とみなされるリスクがあります。 - 注意ライン: 自身の議員としての立場を過度に強調し、見返りを期待させるような表現。
- メッセージの伝え方:
- 推奨: NPO側からの依頼に基づき、NPOが運営するクラファンページやSNS等で、他の応援者と並列して紹介される形。
- 注意: 議員自身のウェブサイトやSNSで大々的に取り上げ、自身の政治活動の一環として「私が応援するこのプロジェクトに寄付を!」と強く呼びかける形。
- 関連法規: 公職選挙法 第199条の5(寄附の勧誘、要求等の禁止)など
ポイント: 純粋な活動へのエールにとどめ、議員自身の立場を利用した「寄付集め」と見られないように配慮しましょう。
2. 議員自身が寄付をする場合の注意点【重要】
応援の気持ちを行動で示したい、と議員自身がクラファンに寄付を考える場合もあるかもしれません。
しかし、ここには非常に明確な法的制限があります。
- 原則禁止: 公職選挙法 第199条の2により、政治家(地方議員含む)は、自分の選挙区内にある者に対して寄付をすることが原則として禁止されています。
- これは、金銭や物品による利益供与を通じて、有権者の歓心を買ったり、票を集めたりする行為を防ぐための非常に厳しいルールです。
- 例外は、親族への寄付や、自身が所属する政党等への寄付など、ごく限定的です。
- クラファンへの寄付:
- NG: 応援したいNPOが議員自身の選挙区内に主たる事務所を置いていたり、主な活動地域が選挙区内であったりする場合、そのNPOのクラファンへ議員個人が寄付をすることは、この禁止規定に抵触する可能性が極めて高いです。
たとえ少額であっても、原則としてできません。 - グレーゾーン?: NPOが明らかに選挙区外の団体であれば、形式的には禁止規定の直接の対象外となる可能性はあります。
しかし、「選挙区内の有権者への利益誘導につながるのでは?」と疑念を持たれる可能性はゼロではありません。
安易な判断は禁物です。 - リターン型クラファン: リターン(返礼品)がある場合でも、その対価が実態に見合わない場合などは、実質的な寄付とみなされる可能性も考慮すべきです。
- NG: 応援したいNPOが議員自身の選挙区内に主たる事務所を置いていたり、主な活動地域が選挙区内であったりする場合、そのNPOのクラファンへ議員個人が寄付をすることは、この禁止規定に抵触する可能性が極めて高いです。
- 関連法規: 公職選挙法 第199条の2(公職の候補者等の寄附の禁止)
最重要ポイント: 選挙区内の団体や個人への寄付は、原則NG! クラファンも例外ではありません。
まとめ:迷ったら必ず確認を!
NPO等の地域活動を応援したいという議員の気持ちは尊いものです。しかし、その方法が公職選挙法に抵触しないよう、細心の注意が必要です。
- 応援メッセージ: 直接的な寄付の呼びかけは避け、一般的なエールにとどめる。
- 議員自身の寄付: 選挙区内の団体への寄付は原則禁止。クラファンも対象。
これらのルールは、時に「杓子定規だ」と感じるかもしれません。しかし、公正な選挙と政治活動を担保するための重要な決まりです。
「これくらいなら大丈夫だろう」「他の人もやっているから」といった自己判断は危険です。少しでも疑問や不安を感じたら、行動する前に必ずご自身の選挙を管轄する選挙管理委員会や法律の専門家(弁護士など)に確認するようにしてください。
正しい知識を持って、クリーンな形で地域活動を応援していきましょう!
免責事項: この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する法的アドバイスではありません。
個別のケースについては、必ず専門家にご相談ください。