2025/04/20
「この団体、応援したい!」そう思った時、私たちは銀行口座から、あるいはクレジットカードを通して、温かい気持ちとともに寄付を送ります。
その瞬間、銀行やカード会社から「同じような活動をしている団体がありますよ!」なんて連絡が来ることは、今のところありません。
しかし、クラウドファンディングのサイトや、社会的な訴えへの署名を集めるプラットフォームはどうでしょうか?
あなたが過去に行った寄付や署名という行為。
それらはデータとして蓄積され、分析され、そして、あなたへのおすすめ情報として提示されることがあります。
一見便利なこの仕組みの裏側には、少し立ち止まって考えるべき側面が潜んでいます。
なぜなら、あなたの善意の行動から得られたデータの集合体は、「こういう対象に、こういう言葉を使えば、もっと寄付や署名が集まる」というノウハウを生み出す可能性があります。
そして、そのノウハウを有償で提供するビジネスが成り立つ、ということです。
もし、私たちがそうしたマーケティング支援サービスを利用する団体を通して寄付や署名をするのだとしたら、それは純粋な応援という気持ちと、何が違うのでしょうか?
「応援」と「購入」のあいまいな境界線
考え方が古いと言われるかもしれませんが、私は「個人情報のオーナーシップは本人にある」という原則を大切にしたいと考えています。自分の大切な情報が、知らないうちに誰かのビジネスの糧となり、その結果として、本来の応援したい気持ちとは少しずれた形で消費されていく。
そんな状況に、拭いきれない違和感を覚えるのです。
もちろん、効率的に支援を広げるためのマーケティングの必要性は理解できます。
しかし、その過程で、寄付や署名という行為が、まるで「商品」のように扱われてしまうことに、複雑な思いを抱く人もいるのではないでしょうか。
公益性を謳うなら、透明性を
クラウドファンディング事業者や署名サイトが、その活動の意義や社会貢献性を声高に語るのであれば、なおさら、データの取り扱いやビジネスモデルについても、 透明性を高めていただきたい。
マーケティング支援・代行事業者として、正々堂々とビジネスを展開することは全く問題ありません。
むしろ、専門的な知識や技術で、本当に必要としている団体をサポートすることは、社会にとっても有益でしょう。
大切なのは、団体自身が、そうしたサービスの仕組みを正確に理解し、自分たちの活動にとって何が重要なのかを見極めること。
そして、支援者である私たちも、その情報をしっかりと把握できることです。
私たちが本当に応援したいもの
結局のところ、私たちが応援したいのは、透明性があり、私たちの気持ちを尊重してくれる団体や企業なのではないでしょうか。
個人情報の扱いに真摯に向き合い、「応援したい」という純粋な気持ちを大切にしてくれる。
そんな姿勢こそが、長期的な信頼関係を築き、真の共感を広げていく力になるはずです。
今回の問いかけは、テクノロジーが進化し、データが大きな価値を持つ現代において、「応援」という行為の本質を改めて見つめ直す良い機会なのかもしれません。