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これって「改革」ですか? 盛岡市の7.6億円事業見直し案に感じる冷酷さ

time 2025/10/27

ゾンビの街もりおか

盛岡市の事業見直し・廃止関連の報道を見て、ちょっと黙っていられなく「緊急で」ブログを書いています。

先日、盛岡市が「123の事業を見直して、来年度から7億6000万円を確保する」という案を発表しました。

盛岡市 123事業見直しで7億6000万円余確保の案示す【NHK盛岡放送局】
盛岡市は、市の123の事業について廃止などを行うことで、来年度以降、事業費ベースで7億6000万円余りを確保するとした見直しの案を、24日開かれた市議会の全員協議会で明らかにしました。2025年10月24日
https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-6040027577

市の新しい給食センター整備など、大型事業のお金が必要なのは分かります。
そのために「自治体経営改善事務局」なんていう新しい部署まで作って、見直しを進めてきたそうです。
その結果が、7.6億円の確保。 数字だけ見れば「お!市長、よく頑張ったな!!」と思うかもしれません。
でも、その中身を見て、いくら公約とはいえ私は「強い違和感と不安」を覚えました。

なにか悪い事でもした事を挽回するために躍起になっている感じもするし、市民のどんな「もりもりな話」を聞いてきたのか、何より市議会議員も市職員も「ボーっと」してんな!と・・・。


 

まるで「事業仕分け」パフォーマンス

見直しの具体例として、「いわて盛岡シティマラソン」や「もりおか街なかイルミネーション」など78事業で、市の負担金(補助金)をやめる・廃止、とあります。
これ、どこかで見た光景じゃないですか? そう、かつて民主党政権が行った「事業仕分け」です。
「なんで2位じゃダメなんですか?」の日本を沈没寸前に陥れ、後に【悪夢の3年間】とまで呼ばれた旧民主党政権の代表作品です。
あの時も、「ムダを削減する」という大義名分のもと、多くの文化事業や研究がやり玉に挙げられました。
今回も、市議会から「なぜシティマラソンを廃止するのか」「どういう基準で必要性を検討したのか」という至極まっとうな意見が出ています。
フタを開けてみれば、十分な議論もなく、「なんとなく派手だから」「すぐに効果が見えにくいから」という理由で切られていないか?
市民に「改革してますよ!」とアピールするための、見かけ倒しのパフォーマンスに見えてしまうのです。


 

それは「経営改善」か、それとも「冷酷なコストカット」か

私がもっとも強く感じたのは、この手法が「カルロス・ゴーン氏がやったような、冷酷で乱暴なコストカット」【ヤッちゃった…ニッサン】にそっくりだ、ということです。最後は、作業員、海外に逃亡するためコントラバスになってしまいました。

「いわて盛岡シティマラソン」は、今や全国から多くのランナーが集まる、盛岡を代表するイベントに育ちました。
盛岡らしさ・盛岡ブランドの事業も含まれていて、妻も関わっている歴史的町並み・景観保全、観光推進事業も含まれています。

これらは単なるイベントやソフト事業ではなく、盛岡が世界から「行くべき都市52」の一つとして注目されるきっかけにもなった、【歴史・文化や公共性の強い事業:盛岡ブランド・シビックプライド】そのものであり、この【地域資源】が、今、無駄になる瀬戸際にあるのです。

これらに市が負担金を出すのをやめる事業を縮小する。 一見「市の財政は助かる」と思うかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか? これらのイベントが縮小したり、最悪なくなったりしたらどうなりますか?

  • 全国から来ていたランナーや観光客が来なくなる。
  • 彼らが使うはずだった宿泊費、飲食代、お土産代といった「地域への経済効果」がゴッソリ消え去ります。
  • イベントを支えていた設営業者、印刷会社、警備員、飲食店、アルバイト…そうした人たちの仕事が減ります。

これは、回り回って「地域経済への悪循環」「中小企業の破綻」、「ワーキングプアを増やす」ことにつながりかねません。
市の負担金7.6億円をケチったことで、それ以上の経済的損失を生み、市民の生活を苦しくさせる。
これは「経営改善」ではなく、ただの「破壊」であり、民間経営者、青年会議所出身の市長とは思えない発想力です。


 

積み上げてきた「盛岡の価値」を壊さないで

さらに、市の広報誌を月2回から1回に減らすといった見直しも入っています。
情報発信の機会を減らすことも、市民サービスの後退です。

これでは、市民生活や街の魅力という「外側」ばかりを削り、行政の「内側」の効率化は後回しにされているように見えます。
まさに【「市民により強く、行政により優しい」街づくり】を、進めているかのようです。

給食センターはもちろん大事です。でも、そのために今まで市民や市が一体となってコツコツと積み上げてきたイベントや文化、景観、街の活力を「なし崩し」にしていいはずがありません。
お金は大事です。でも、お金で測れない「街の価値」や「人のつながり」、それこそニューヨーク・タイムズ「2023年に行くべき52か所」の評価にも繋がった「盛岡らしさ」である【歴史・文化・景観、公共性の強い事業】を、数字だけの論理で切り捨てるのは、とても暴力的すぎます。

市は来年2月ごろに正式決定する前に、影響を受ける団体から意見を聞くとしています。
ぜひ、表面的な数字だけでなく、その事業がなくなることで「盛岡が何を失うのか」を真剣に考えてほしいです。
これは、単なる「節約」の問題ではないと考えます。

「生贄・ゾンビの街、もりおか」にならないためにも・・・これがあの「もりおかアゴラ・デザイン戦略」なのですね?!

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プロフィール

岩見 信吾 / IWAMI Shingo

岩見 信吾 / IWAMI Shingo

NPOスペシャリスト・地域情報化プランナー: @IwaminTV / @iwateNPO / @IwateNow / @aiinaNPO 元副所長・管理者/魚ログ・三鉄ログ創設/ #盛岡星人 /産学民公連携協働,環境と地域ICT,地域DX,まちづくり,商品開発,災害復興。/日本経済新聞【地域情報化大賞 2008】日経MJ賞 受賞:三陸いわて産地魚市場の環境を意識した地域情報化/農林水産省ボランタリープランナー/岩手県宮古市(旧:新里村)出身、岩手県盛岡市在住 [詳細]

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